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Final Stage 第3章:困難な日々

Author: 相沢蒼依
last update publish date: 2025-11-24 09:29:15

竜馬くんとの接触を控えるべく、まずはバイトのシフトの時間を変更しようと大学の授業が終わってから、コンビニに真っ直ぐ向かった。

従業員入り口から事務所に入ると、店長がパソコンの前で仕入れ状況の確認をしているところで、その背中に大きな声をかけた。

「お疲れ様です!」

「お疲れー。あれ、今日シフト入ってたっけ?」

キーボードの手を止めて小首を傾げながら、俺の顔をわざわざ見つめる。

「いえ……。あのその件で、ご相談したいことがありまして」

店長がシフトという言葉を口にしてくれたお蔭で、すんなりと話ができそうだ。

「紺野くんが深刻な顔して相談なんて、何だかドキドキするな。そういえば、スーパーのバイトを始めたそうだね。掛け持ちがキツくなってきたとか?」

傍に置いてあったパイプ椅子を目の前に用意し、座るように促されたので遠慮なく腰掛けて、背筋を伸ばしながら姿勢を正した。

「スーパーは週末だけにしているので、全く問題ないんですけど……」

参ったな、竜馬くんとのシフトをズラす理由を考えてなかった――勢いだけで、ここに来てしまったから。

「えっとですね大学の単位がですね、ちょっとだけヤバいの
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    生暖かい風が吹く中、コンビニの外で350mlの缶ビールを開けた。ちょうど3本目を飲み終える頃にアキさんが外に出てきて、俺の姿を見た瞬間にぎょっとした表情を浮かべる。 ただ待っていただけじゃなく、飲んでいるという事実に面食らったであろう。「お疲れ様ぁ、アキさん。待ってるのが寒くって、こんなところで宴会しちゃった」 大きな声で話しかけたのにそれを無視して、脱兎のごとく駆け出した彼を追いかけるべく、転がしていた空き缶を手早く拾い集め、外にあるゴミ箱に捨てて、その背中を追いかけた。「うわー、飲んでるから追いかけるの、結構つら~……」 追いかけるアキさんの背中が、右に左によく揺れる。って俺が揺れてるから、そうなるのか。ちょっと飲みすぎちゃったな―― 若干の気持ち悪さを抱えながら、走ること数分。そうこうしている内に、もうすぐアパートに到着してしまう場所に差し掛かった。(――仕掛けるなら、今だろう……) 目をぎゅっと瞑り、思いきって転んでやった。ズシャッ! なぁんていう、大きな音までオマケでつくとかラッキー。「いったぁ……」 あまり痛くはなかったけど、転んだことを大げさにすべく大きな声で言い放つ。否が応でも、アキさんの耳に届いただろうな。 顔を歪ませて必死に笑いを堪えていると、アキさんが渋々といった感じでやって来て、俺に向かって手を差し出してきた。「大丈夫?」 まんまと騙されてくれたことに思わず笑い出しそうになり、慌てて顔を背ける。口元を押さえて、何とか微笑を隠した。「……あまりにも惨めな姿に、仕方なく手を貸してくれる気になったの?」 笑いを堪えているので、必然的に声色が震える。それが迫真の演技になって、彼に伝わったかもな。泣いていると思ったかもしれない。「そんなこと……ないよ。だって友達だし。俺たち……」 アキさんはどんな顔して、それを言ったんだろう。優しいくせに残酷な人だ――だけど俺は愛おしくて堪らない。「っ……なんで……なんで友達以上になれないんだよっ!!」 もしも願いが叶うなら井上さんよりも先に、アキさんに出逢いたかった。先に出逢っていたら、もしかしたら俺に恋していたかもしれないよな。「竜馬くん、お酒あんまり強くないのに、飲み過ぎたみたいだね」「何度となく告白してもスルーしたアキさんから、そんな風に優しい言葉をかけられるなんて

  • 残り火 After Stage ―未来への灯火―   想いを重ねる夜3

    「千秋……ちあ、きっ」 聞き慣れた声が、おばちゃんたちの後方から聞こえてきた。 声の主を確かめるべく首を伸ばして視線を彷徨わせると、穂高さんが両手に缶ビールを持ちながら顎を使って前方を指し示し、缶ビール同士を当て続ける動作をする。(――あれは、お父さんと乾杯をしろというジェスチャーだな) 分かったという意思を、微笑みと共に頷いてみせた。すると俺の動きを見た途端に闇色の瞳を細めて、右手に持っていた缶ビールを掲げる。 お父さんと乾杯するよりも先に、穂高さんと乾杯がしたい――なんて考えてしまうのは、俺たちの間に距離があるせいだな。いつもなら必ず隣にいるのにね。 そんな寂しさを隠してお父

    last updateLast Updated : 2026-03-28
  • 残り火 After Stage ―未来への灯火―   急転直下13

    「千秋の職場なら、ここから歩いて十分くらいのところにあるんですよ」 並んで歩きながら告げると、あからさまに顔を横に背けられてしまった。 こんな態度をとられるのは、いた仕方ない。前回千秋のことをかっさらった状態で実家を出てきたのだから。「小さな島ですが、農業も漁業もそれなりに盛んなんです。ですから、千秋の仕事が大変みたいです」「仕事をしているところを見ていないというのに、どうして大変だっていうのが分かるんだ?」 いきなりなされた疑問に、苦笑を浮かべた。何はともあれ、食いついてくれて良かった。「確か従業員の五名で、三百五十人分の書類を捌かなければならないそうですよ。これって相当大変で

    last updateLast Updated : 2026-03-28
  • 残り火 After Stage ―未来への灯火―   想いを重ねる夜5

    「千秋の姿を見て、どう思いますか?」 一瞬の間をおいてから告げられた台詞に、ぽかんとしたのは俺だけじゃなく、お父さんも何を言ってるんだという表情を浮かべた。「学生時代には見られなかったスーツ姿を見て、何か感想はあるかなぁと個人的に思っただけなんですが――」 言われてみたら確かにそうなんだけど、実家にふたりで挨拶に行ったときにスーツ姿を見せていることを、穂高さんは忘れちゃったのかな。(いろんな思いが交差する様子を、お父さんの隣にいる船長さんは固唾を飲んで見守っているし、自分からはどうしても声をかけられない……) 穂高さんの質問に困ったんだろう。手にした缶ビールをまたしても飲むお父さん

    last updateLast Updated : 2026-03-28
  • 残り火 After Stage ―未来への灯火―   急転直下15

    「遅かれ早かれ真実を知った千秋は、俺から離れていく運命だったと思う。まさか男の元に走るとは、思いもしなかったが」「紺野さん……」「俺の大事な千秋を泣かせたりしたら、即刻連れ戻しに来てやるからな。覚悟しておけ!!」 ちょっとだけ鼻をすすりながら豪語された言葉に、しっかりと姿勢を正した。「お前たちの付き合いを認めたわけじゃない。絶賛反対中だ」「承知しています。認めてくださいなんて、我儘を言うつもりはありません」「当然だ。むしろ、今すぐにでも別れてほしいくらいなのに」「…………」「……あれの幸せそうな顔を見たら、別れろなんて言えないだろ」 両手を握りしめて悔しそうな表情を浮かべて

    last updateLast Updated : 2026-03-28
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